2017年9月11日月曜日

ドイツ科学の卓越性の秘密:Nature 最新号の記事を読んで (西川伸一) ; 「だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。」(安倍首相のOECD閣僚理事会で行った演説) / 勉強してきた人かどうか、という、日本の首相とメルケルとを隔てるこの巨大な差が悲しい。   


(略)

安倍首相のOECD閣僚理事会で行った演説

この演説は、安倍ミックスをはじめとする様々な改革と集中投資で日本経済は生まれ変わったことを強調する内容だが、その中で政府が目指すイノベーションの一つとしての教育改革について次のように述べている。

「日本では、みんな横並び、単線型の教育ばかりを行ってきました。小学校6年、中学校3年、高校3年の後、理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきたのです。しかし、そうしたモノカルチャー型の高等教育では、斬新な発想は生まれません。」、そして続けて 「だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。(Rather than deepening academic research that is highly theoretical, we will conduct more practical vocational education that better anticipates the needs of society. I intend to incorporate that kind of new framework into higher education.)」と述べている。

出典:首相官邸ホームページ

まともな科学者なら、これを読んだらこの国の科学はおしまいだと思うだろう。もちろん原稿は、優秀な内閣府の官僚が書いたのだと思う。知識をひけらかす才気紛々とした原稿だ。しかし「Rather than deepening academic research that is highly theoretical(極めて理論的な学術研究を深めるのではなく)」といったフレーズを平気で使える官僚が日本の高等教育政策を担っているのかと思うと暗澹たる気持ちになる。

(略)








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